Column

健康経営

健康経営推進企業へのインタビュー

2014年以降、健康経営に取り組む企業が増えているなか、健康経営銘柄やホワイト500といった表彰制度に関心を持つ方もいらっしゃるかと思います。特に健康経営銘柄は、基本的に1業種1社までという、限られた企業しか取得することができません。

本コラムでは、健康経営銘柄に2023年、2024年の2年連続で選定されているライオン株式会社で健康経営を担当する五十嵐氏と川本氏の2名に対して、健康経営の専門家である、株式会社イブキの平井氏が、健康経営銘柄選定までの流れや、取り組み内容について、話を聞きました。

株式会社イブキ
代表取締役 平井孝幸

2011年にDeNA入社。2015年から従業員のワークパフォーマンスを高めるための健康サポートを始める。DeNAでの取組みが経済産業省から評価され、健康経営銘柄を取得。現在は、DeNA在職中(2018年)に起業したイブキにて、健康経営コンサルティングや企業向けヘルスケア動画サービスを展開。
著書『仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること』(東洋経済新報社)

01 健康経営銘柄に選定されるまでの道のり

平井:お二人と初めてお会いしたのは数年前になりますが、2023年・2024年と2年連続で健康経営銘柄に選定されるなど、長年の苦労が成果として現れ、とても嬉しく思っていました。
今日は改めてお話を伺わせてください。
最初に、これまで聞いたことがなかったのですが、そもそもどのような経緯で健康経営に取組むことになったのでしょうか?

五十嵐:たしかに、お話したことがなかったですね。私が健康経営を担当するようになったのは2020年ですが、当初はあくまで社員の健康管理という役割の認識でした。弊社では、2019年から「ライオン流働きがい改革」が始まり、そのベースに「GENKIアクション」という、社員の健康サポートを行う活動がありました。それに加え、ワークスタイルとワークマネジメント、関係性の構築、これらが揃ってこそ、働きがいが高まると考えました。私はその中で、健康サポート室の室長を担うことになりました。

平井:なるほど、働きがい改革の一環で健康経営に携わるようになったのですね。

五十嵐:そうです。ですから、当時は健康経営をやるぞというよりも、社員の健康管理の担当だと思っていました。ちなみに、私が初めて提出した健康経営度調査では400~500位だったと記憶しています。

川本:元々「ホワイト500」は取得しており、前年通りの取り組みのままで良いだろうと思っていたところ、その年の結果が500位近い結果になってしまって・・・。

五十嵐:そこで出会ったのが平井さんです(笑)

平井:そのような背景は今初めて知りました(笑)お二人からお話を聞いている限り、安全衛生面は完璧に近かったと記憶しています。
しかしながら、経営に資するような取り組みの少なさや、健康データの分析をしているのに、上手く活用されていなかった印象があります。

五十嵐:そうだったと思います。平井さんとお話をする中で感じたのは、健康経営は単なる健康づくりだけには留めていてはもったいないということです。
むしろ、元々行っていた働きがい改革こそが健康経営の本質ではないか。そう考えた時にすごく腹落ちしました。実は働きがい改革のフレームこそ健康経営だったと気がつきました。

※参考:「ライオン流働きがい改革」の詳細はコチラをご確認ください

02 ライオン流の健康経営は働きがいも高める

平井:健康経営は働きがいを高める活動だと認識されたわけですね。そこからどのような変化がありましたか?

五十嵐:まず考え方に大きな変化が出ました。当時、部署ごとにバラバラに働きがいを高める活動をしていましたが、それを働きがい改革という旗の下でつなぎ合わせたら、ライオン流の健康経営になるのではないかという発想が浮かんだのです。

平井:具体的にはどのような取り組みを行ったのでしょうか?

川本:例えば、弊社の研究員が自発的に実施していた女性特有の健康課題に対するセミナーを、全社展開しました。その後、さらに月経前のメンタルトラブルに関する新規事業のチームと連携して、社内セミナーを行いました。また、口腔機能や介護ゲーム機に関する新規事業のチームと連携して、社内での体験イベントを企画したこともあります。

ライオン研究開発本部、女性の健康経営アワード®推進賞受賞

自由研究活動から生まれたウェルビーイングラウンジ

平井:健康経営は健康管理やサポートだけに目がいきがちですが、経営面にプラスになる取り組みも重要です。お二人がされた、他部署連携や新規サービスの活用などは模範例ですね。

ところで、ライオンといえばオーラルケアですが、どのような取り組みをされていますか?
健康経営度調査票にも、歯と口の健康に関する項目がありますし、直近では歯科衛生士が専門職雇用の中で項目化されるなど、年々歯科に関する項目が増えてきています。社会的にもオーラルケアへの注目度が高まっていますよね。

03 健康経営銘柄企業のオーラルケア取組みとは

川本:2002年から全社員向けの歯科健診を実施していて、現在は基本的に健康診断とセットで受けてもらっています。この活動により、9割以上の従業員が年に1回歯科健診を受けています。併せて歯科医院によるプロフェッショナルケアの費用補助も行っています。

平井:歯科健診受診率が90%というのはすごいですね。健康経営に熱心な企業担当者とよく話しますが、多くの場合、歯科健診率は10~20%ほどの印象です。意識を高めるために、どのような工夫をされているのでしょうか?

川本:例えば新入社員向けの研修から、昼歯みがきの実施やデンタルフロスの使用などオーラルケアの重要性を伝えています。
意識が上がった後に実践しやすいよう、オフィスで使いやすい携帯歯みがきセット『MIGACOT』などの製品をプレゼントしています。2023年は1日3回以上の歯みがき実施率が研修前の60%から研修1か月後には97%(1.6倍)に増加するなどの変化がありました。

また、中途入社した人や『50歳セミナー』において、オーラルケアeラーニングを用意して、意識向上につなげています。

04 本質的な成果をもたらすために必要な文化づくり

平井:たくさんの取り組みですね。健康経営を(健康面において)成功させるには、従業員の健康を重視する文化を醸成し、社内外に発信していくことが重要ですが、まさにそのような流れだと思います。

川本:弊社では、新社屋に移転して以降、ファミリーデーを開催しているのですが、2023年では、その中のひとつとして、企業向けのオーラルケアサービス「おくちプラスユー」が、おくちの健康スコアを算出するブース用意してくれました。子ども向けの弊社サービスを活用して、噛む力をチェックするブースも好評でした。

平井:やはりオーラルケアに関しては手厚いですね。小さい頃のポジティブな経験は大人になっても記憶に残りやすいため、効果がありそうですね。

川本:毎年、ファミリーデーを楽しみにしてくださる方が増えていけば良いなと思っています。

05 健康経営銘柄取得に向けて重要な情報開示

平井:事業所ごとに、従業員の健康状態などを経年かつ全社比較で「見える化」した『GENKIレポート』をつくられていると伺いました。
『GENKIレポート』をつくることになったきっかけについて教えてもらえますか?

五十嵐:弊社は国内12か所に事業所があります。そして、働きがい改革といっても事業所ごとに課題を解決することが大切です。そこで、まずは組織のメンバーの健康状態をわかりやすく数字で示すことはできないだろうかと考えました。川本から、せっかくならもっとビジュアル化したらどうだろうかとアドバイスがあり、それを社内のDXチームにオーダーして出来上がったのが『GENKIレポート』です。

平井:『GENKIレポート』は、どのようにつかわれているのでしょうか?

川本:『GENKIレポート』は、事業所ごとの健康状態が表情のマーク(笑・普・泣)で表示されるので、自事業所の状態が客観的にわかりやすく把握できます。出し続けることで、経年変化への意識も生まれてきました。加えて、月1回の安全衛生委員会や地区によっては給食業者と共有をするなど活用しています。

平井:良いですね。DXチームと連携した成果ではないでしょうか。内製化されている点を含め、素晴らしいと思います。雷や防風雨といったマークがつく場合もあるでしょうか?(笑)

五十嵐:そんなマークは用意していないです(笑)
DXチームと連携することで、21年から健康管理システム『GENKIナビ』が稼働したことも健康経営の推進には大きく寄与しています。スマートフォンアプリからもアクセス可能で、従業員が気軽に自身の健康状態を把握できるようになりました。

五十嵐:『GENKIレポート』の話にも通じますが、一番力を入れたところはデータを開示する部分です。

06 成功の秘訣は他部署連携

川本:あとは、コーポレート部門を中心とした、各部署で行っていた取り組みの結果を集めて健康経営度調査票に記載できるようになったことが大きいかもしれません。

五十嵐:最初に平井さんとお話した時に、健康経営はサステナビリティ、経営企画、広報、IR、事業部など、とにかくいろんな人を巻き込み、連携することが大事だと言われたことを思い出しますね。

平井:そうでしたね。相手にとってのメリットを考える必要があることや、各部署が健康経営に関心を持つポイントについて、お話した記憶があります。オーラルケアの啓発と同様に、健康経営においても、ひとりひとりが関心を持つポイントを探しながら、小さな変化を起こしていくことが大事ですね。御社の場合は、小さな変化が大きなうねりになり、健康経営銘柄取得に繋がった好事例だったのではないかと思います。お聞かせいただき、ありがとうございました。

インタビューを受けたライオン株式会社健康経営担当

左:人材開発センター 健康サポート室 川本氏(保健師)
右:五十嵐氏(室長)

ライオンの健康経営についてもっと知りたい方や、オーラルケアに関するに関心がある方は、以下よりお問合せください。

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